税金・特例
空き家の固定資産税は6倍?親が施設に入って空いただけでは特例は外れません|外れる場面といつから
この記事の結論
- 親が施設に入って家が空いても、それだけでは特例は外れません。住める状態に管理していれば、土地の税金を軽くする「住宅用地の特例」は続きます。
- 特例が外れるのは、主に①家を取り壊したとき ②市町村から「管理不全空家等」「特定空家等」として勧告を受けたとき ③管理をしていない・取り壊す予定などで、今後住む見込みがないと市町村に判断されたときです(③は勧告がなくても外れます)。
- 変わるのは1月1日の状態で決まる、その年度の税金からです。
- 「6倍」にはなりません。特例が外れたあとの土地は、課税標準が評価額の7割で頭打ちになります。特例ありの6分の1と比べるとおよそ4.2倍です(計算した比率。実際の上がり方は土地ごとに違います)。
空き家になっても、管理していれば特例は続きます
家が建っている土地(住宅用地)は、固定資産税と都市計画税の計算のもとになる額(課税標準)が下がります。
| 固定資産税 | 都市計画税 | |
|---|---|---|
| 200㎡以下の部分(一戸建てなら土地の200㎡まで) | 評価額の6分の1 | 評価額の3分の1 |
| 200㎡を超える部分 | 評価額の3分の1 | 評価額の3分の2 |
家の床面積の10倍を超える広さの部分は、住宅用地に入りません。
出典:e-Gov法令検索「地方税法」第349条の3の2・第702条の3 資料を見る/「地方税法施行令」第52条の11 資料を見る
人が住んでいない家も、構造上住宅で、住む以外のことに使っていなければ「住宅」として扱われます。親が施設に入って空いている家も、これが原則です。
ただし、次のような状態で、今後人が住む見込みがないと認められると「住宅」に当たらず、家が建っていても特例が外れます。判断するのは市町村で、1月1日時点の家の使い方や管理の状況を見ます。
- 傷みがひどく、構造上住宅と認められない
- 使う見込みがなく、取り壊す予定になっている
- 住むために必要な管理をしていない
出典:総務省「地方税法第349条の3の2の規定における住宅用地の認定について」(平成9年 自治固第13号・平成27年 総税固第42号で改正) 資料を見る
取り壊しと勧告:特例が外れる2つの場面
① 家を取り壊して更地にしたとき
特例は家が建っている土地が対象なので、取り壊すと外れます。更地の税を軽くする全国一律の制度はありません。市町村によっては、取り壊したあとの税の減免や補助金があります。
出典:国土交通省 事務連絡(令和5年12月13日・総務省と協議済み) 資料を見る
相続した家を取り壊して土地で売る場合は、空き家の特例(3,000万円控除・2027年12月31日までの売却が対象)も関係します。取り壊す時期は、売る時期とあわせて考えてください(老人ホーム入居後の親の家を売却するときの3,000万円控除)。
② 市町村から勧告を受けたとき
きちんと管理されていない空き家は、市町村が次の2つに分けて対応します。空家法の仕組みでは、特例が外れるのは勧告を受けたときで、指導・助言だけでは外れません。ただし、上の「住宅に当たらない」と判断されると、勧告がなくても外れます。
| 管理不全空家等 | 特定空家等 | |
|---|---|---|
| どんな状態 | きちんと管理されておらず、このまま放っておくと特定空家等になるおそれがある | 倒れるなど著しく危険・著しく衛生上有害・著しく景観を損なっている など、放っておくのが不適切 |
| 市町村の対応 | 指導 → 直らなければ勧告 | 助言・指導 → 勧告 → 命令 |
| 国のガイドラインの判断例(建物) | 屋根の変形・外壁などのはがれ・柱など主要な部分の腐れ・雨水が入った跡 など | 倒れるおそれがあるほどの著しい傾き・屋根全体の変形 など |
| 住宅用地の特例 | 勧告を受けると外れる | 勧告を受けると外れる |
勧告のあとに直して、市町村が確かめて勧告を撤回すれば、特例はまた使えます。
出典:e-Gov法令検索「空家等対策の推進に関する特別措置法」第2条・第13条・第22条 資料を見る/「地方税法」第349条の3の2第1項 資料を見る/国土交通省「管理不全空家等及び特定空家等に対する措置に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)」 資料を見る
実際に、勧告がなくても「住宅に当たらない」と判断して特例を外している市町村もあります。
出典:国土交通省・総務省 事務連絡(令和3年3月30日) 資料を見る
いつから変わるか:1月1日の状態で決まります
固定資産税は、毎年1月1日の状態で、その年度の税額が決まります。
| 2026年中に家を取り壊した | 2027年1月1日に更地 → 2027年度分から特例なし |
|---|---|
| 2026年中に勧告を受けた | 2027年1月1日に勧告を受けたまま → 2027年度分から特例なし |
| 1月1日までに、勧告で求められた修繕などを終え、市町村が確かめて勧告を撤回した | 特例は続く(取り壊しを求められて壊した場合は、上の「取り壊した」と同じ) |
なお、家が建っていても、1月1日時点で「使う見込みがなく、取り壊す予定」と判断されると特例が外れることがあります。取り壊しを1月2日以降にずらせば1年分得をする、とは限りません。
出典:e-Gov法令検索「地方税法」第359条 資料を見る/総務省 通知(平成27年5月26日 総税固第41号) 資料を見る/総務省「地方税法第349条の3の2の規定における住宅用地の認定について」 資料を見る
「6倍」ではありません:頭打ちは評価額の7割です
「特例が外れると6倍」と言われるのは、200㎡以下の部分が評価額の6分の1になっているからです。でも特例が外れたあとの土地(住宅用地以外の宅地)は、課税標準が評価額の7割で頭打ちになります。
| 例:土地の評価額1,200万円(200㎡以下) | 課税標準 | 固定資産税(税率1.4%の場合の概算) |
|---|---|---|
| 特例あり | 200万円(評価額の6分の1) | 約2.8万円 |
| 特例なし(頭打ち) | 840万円(評価額の7割) | 約11.8万円 |
この比率がおよそ4.2倍です(計算した比率で、国の資料に「4.2倍」という言い方はありません)。1.4%は標準税率で、市町村によって違うことがあります。
実際の上がり方には、何年かに分けて上げる調整の仕組み(負担調整措置)があります。ただし、家を取り壊した場合などは、前の年の額ではなく周りの似た土地の水準をもとに計算することがあり、1年目から大きく上がることもあります。自分の土地でいくらになるかは、家がある市区町村の固定資産税の担当課で確かめてください。
この調整の仕組みは2026年度(令和8年度)分までの定めで、2027年度以降の扱いは税制改正で決まります。建物にかかる固定資産税は、この特例とは別に計算されます。
出典:総務省「固定資産税の概要」(宅地等に対する固定資産税の課税の仕組み・令和6年度〜令和8年度) 資料を見る/e-Gov法令検索「地方税法」第350条・附則第17条・附則第18条 資料を見る/国土交通省「空家等に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための基本的な指針」 資料を見る
家を空けている間にやること
- 傷みが出ないように見回る(屋根や外壁のはがれ・雨漏りの跡・庭木の枝のはみ出し など)。
- 市区町村から指導や助言の通知が来たら、勧告になる前に直す。直したら市区町村に伝えて、指導・勧告が終わったか確かめる。
- 取り壊すなら、売る時期とあわせて考える。1月1日をまたいでも、取り壊す予定と判断されれば特例が外れることがある。
- 税額や、取り壊したあとの減免・補助金があるかは、家がある市区町村の固定資産税の担当課で確かめる。
この記事は、公開されている国の資料をもとにした一般的な説明です。実際の税額や、特例が外れるかどうかは、家がある市区町村にご確認ください。