施設の費用
実家を売却すると負担限度額認定が外れることがあります|預貯金等の基準と売る前の確認
この記事の結論
- 家や土地は、負担軽減の判定に使う「預貯金等」に入りません。ただし売った代金が親の預金になると入ります。
- 親の預貯金等(配偶者の分も合計)が基準を超えると、その翌月から負担軽減は受けられなくなり、認定証を市区町村に返す必要があります。基準は、65歳以上のひとりなら多くの場合500万〜650万円(年金などの収入で変わります)。
- 売って利益が出ると、翌年の住民税が課税になり、預貯金に関係なく外れることもあります。
- 対象は特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護医療院・ショートステイなどです。有料老人ホームやグループホームは、法律の対象に入っていません。
負担軽減(負担限度額認定)とは
特別養護老人ホームなどに入っている人の食費と居住費(部屋代)が軽くなる制度です。本人・同じ世帯の人・配偶者(世帯を分けていても)が全員住民税非課税で、預貯金等が一定以下の場合に、市区町村の認定を受けると「負担限度額認定証」が交付されます。
対象になるのは、次のサービスを使うときです。
- 特別養護老人ホーム(地域密着型を含む)
- 介護老人保健施設
- 介護医療院
- ショートステイ(短期入所生活介護・短期入所療養介護)
有料老人ホーム・認知症グループホーム・サービス付き高齢者向け住宅は、この一覧に入っていません。
出典:e-Gov法令検索「介護保険法」第51条の3 資料を見る/「介護保険法施行規則」第83条の5 資料を見る
預貯金等の基準(2026年8月から)
本人と配偶者の預貯金等の合計が、次の額以下である必要があります。段階は、前年(1〜7月分は前々年)の年金などの収入と所得の合計で決まります。
| 年金などの収入と所得の合計 | ひとり | 夫婦 |
|---|---|---|
| 82万6,500円以下 | 650万円 | 1,650万円 |
| 82万6,500円を超え120万円以下 | 550万円 | 1,550万円 |
| 120万円を超える | 500万円 | 1,500万円 |
| 老齢福祉年金を受けている | 1,000万円 | 2,000万円 |
65歳以上の人の基準です(40〜64歳の人は1,000万円・夫婦2,000万円)。夫婦の場合は、世帯を分けていても配偶者の分を合わせて見ます。区切りの「82万6,500円」は、2026年8月に80万9,000円から変わりました。
出典:e-Gov法令検索「介護保険法施行規則」第83条の5 資料を見る/厚生労働省「介護保険最新情報 Vol.1513」(2026年6月22日) 資料を見る
預貯金等に入るもの・入らないもの
| 入る | 預貯金・有価証券・投資信託・タンス預金(現金)・金や銀など口座で時価がわかるもの。借入金や住宅ローンは差し引く |
|---|---|
| 入らない | 生命保険・自動車・時価がわかりにくい腕時計や宝石・絵画や骨董品など |
| 家・土地 | 入るものとして挙げられていません(国の審議会の資料(2022年)では、不動産を勘案することは「引き続き検討」とされています) |
出典:厚生労働省「介護保険最新情報 Vol.1532」(2026年7月31日)別添 資料を見る/社会保障審議会介護保険部会(第103回)資料2(2022年11月28日) 資料を見る
実家を売ると、いつ外れるか
売った代金が親の口座に入り、預貯金等が基準を超えたら、その月の翌月から負担軽減の対象外になります。認定証は市区町村に返します。
例:ひとりで、年金などの収入が120万円を超える親(基準500万円)。預金300万円のところに、家を売った代金1,000万円が入金 → 合計1,300万円で基準を超えるので、入金した月の翌月から対象外。
売って利益が出た場合は、さらに2つのことが起きえます。
- 翌年の住民税が課税になると、預貯金に関係なく対象外になります。3,000万円の特別控除で税金が0円になっても、住民税がかからないかどうかは控除する前の利益で判定するため、課税になることがあります(「売った翌年に上がるもの・上がらないもの」)。
- 段階の判定に使う「所得」に、売った利益が入ります(3,000万円の特別控除を使ったときは、控除したあとの額)。
出典:厚生労働省「介護保険最新情報 Vol.1532」(2026年7月31日)別添 資料を見る/介護保険法施行規則 第83条の5・第83条の6/e-Gov法令検索「地方税法」附則第34条(住民税の非課税の判定には特別控除の前の譲渡所得が入る)(資料を見る)
届け出をしないとどうなるか
- 基準を超えたあとに受けた分は、あとから差額を返すことになります。さかのぼるのは最長5年です。
- 偽りや不正で受けていた場合は、返す額に加えて、その2倍以下の加算金を求められることがあります。
- 市区町村は、銀行などに預貯金を照会できます。申請のときに照会への同意書も出しています。
出典:e-Gov法令検索「介護保険法」第22条第1項・第203条 資料を見る/厚生労働省「介護保険最新情報 Vol.1532」(2026年7月31日)別添(差額の徴収は地方自治法第236条により5年間が限度)
売る前に確かめること
- 売った代金(仲介手数料などを引いた額)が、親の預貯金等にいくら入るか。税金は売った翌年に払うので、入金したときはその分も残高に入ります
- 売った翌年、親の住民税が課税になるか(市区町村か税務署で確かめる)
- 負担軽減が外れると、施設の食費・居住費が月いくら上がるか(施設か市区町村の介護保険の窓口で確かめる)
- 夫婦の場合は、配偶者の預貯金等も合わせた額で見ること
- 税金の特例が使えるか(老人ホーム入居後の親の家を売却するときの3,000万円控除)
この記事は、公開されている国の資料と法令をもとにした一般的な説明です。親の場合にいつから外れるか、費用がいくら変わるかは、市区町村の介護保険の窓口で確かめてください。